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泉州の南側地域に、昔からおやつ代わりに食べられてきた、がっちょのから揚げがあります。大阪湾でよく獲れるがっちょとは、地方によって「めごち」と呼ばれる体調20センチ弱の魚です。からあげにすると骨まで食べられるのでカルシウムたっぷりとお子さんから年配の方まで大人気の一品。がっちょのから揚げを商品化して製造販売している株式会社かねひろさんを訪ねきました。
飛ぶようにうれたイベント販売
泉佐野の魚市場で働いていた上ノ郷谷(かみのごうや)弘さんは、平成元年に独立して、泉佐野市内の紀州街道沿いで天ぷら・惣菜店の経営をはじめ、1年後に鮮魚店としてスタート。開店当時より「この辺でがっちょがようとれて安かったからね、時間のある時に揚げて売ってたんです。近所の人がよう買いに来てくれてました」と人当たりの良い笑顔で語ってくれました。
泉州名物がっちょのから揚げ
店で作っていたがっちょのから揚げを知り合いに食べてもらったところ、あまりの美味しさに「これは絶対に売れる!」と商品化することを強く勧められたそうです。ためしに、イベントや催事に出してみると飛ぶように売れたのです。そこで、お酒のアテやおかしとして日持ちもして、開けてすぐ気軽に食べられて、お土産にもなるようにと袋づめし商品化することにしました。その後も袋の中に油がたまるのを防ぐために、中に油を吸い取る紙をいれたりと、いろいろ改良を加えていきました。
伸び悩む鮮魚販売からからあげに方針転換の決断
鮮魚店の時には、病院や老人ホームに食材を納品していました。チェックがかなり厳しく、休みもほとんどなかったそうです。また、鮮魚の売り上げも伸びる見通しが立たずストレスになっていたそうです。
そのころ商品化したがっちょのから揚げが、大手スーパーなどから引き合いが来るようになりました。上之郷谷さんは経営者として鮮魚店をやめ、がっちょのから揚げ販売のみに変更するという大きな決断をしました。
直後は売り上げが大きく落ちたものの、自信を持って売れる、お客様に喜んでいただける商品に絞ったことで精神的に前向きになれたそうです。
地元ファンの多かったがっちょのから揚げは創業当時より働いている平田さんの味つけがポイント
冷めても美味しくて、お酒のアテやおやつにもピッタリながっちょのから揚げ、実際に作っているところを見せていただきました。
がっちょは、頭を落として「松葉おろし」にします。小ぶりな魚なので下すのも大変そうですが、慣れてくると1時間で5~6キロの魚をおろせるそうです。
おろしたあと下味をつけるのますが、この味付けを担当しているのが、開店当時より働いている平田さん。働き者のお母さんといった明るい笑顔が印象的です。日本酒と塩で下味をつけるのですが、この日本酒が福岡県のメーカーのお酒と決まっています。別のお酒で試してみたところ、味が全く変わったそうです。
下味をつけたがっちょは、1日冷蔵庫で寝かせます。こうすることで味がしっかりしみこみうまさが増すのです。
松葉おろしにして下味をつけたがっちょ
翌日、下味のついたがっちょに片栗粉をまぶし、180℃で15分間しっかりあげていきます。しっかりあげることで、骨まで食べられるカリカリ・サクサク感たっぷりのがっちょのから揚げになります。
片栗粉をまぶしてしっかりあげていきます
揚げたてのがっちょは、食欲をそそる何とも言えない香ばしいかおりでした。味見をさせていただくと、カリカリとした食感が心地よくいくらでも食べられる!と思ったのと、口の中に広がったがっちょのうまさで、あ~ビールが飲みたい!と思いました。近くの老人ホームでも大人気で、職員の方が皆さんの注文を聞いてまとめ買いに来るほどだそうです。
180℃で15分間しっかりあげるとカリカリのがっちょのから揚げが完成
帰省土産にも人気のこの商品。ビールの進む夏には月に6,000袋以上も売り上げるそうです。
揚げたての香ばしいかおりが店いっぱいに広がり
新商品の泉だこのから揚げも順調に伸びている 現在新たな新商品の開発中
去年の暮れから、泉だこのから揚げを店頭販売し、今年からは袋詰めした商品も販売しています。使用する泉だこはあまり大きすぎると揚げた時に固くなってたべにくいので、小ぶりのものをしいれています。
泉州地域で昔から食べられているがっちょや泉だこを特産品としてより多くのお客さんに食べてもらいたいと頑張っています。お客さんに喜んでもらえる新しい商品を開発中ですが、今はまだ企業秘密です、とにこにこした笑顔が印象的でした。
右から社長の上ノ郷谷さん、調理担当の平田さん、配達担当の奥様