堺名産 けし餅本舗 小島屋

江戸時代の創業当時よりけし餅ひと筋で300年以上も家伝の製法を守り続けてきた老舗和菓子店。今では販売する百貨店も関西だけでなく関東にまで進出、根強い人気で従業員約40人を抱える企業に成長した小島屋さんを訪ねてきました。

 

けし餅一筋三百数十年

堺の中心を南北に走る阪堺電気鉄道(通称チンチン電車)。チンチン電車と26号線が交わる宿院の交差点を南へ曲がってすぐに小島屋があります。

堺名産けし餅 小島屋

小島屋の1日は朝3時から始まります。けし餅だけで1日に約1万個を製造し、年末年始やお盆などの繁忙期にはその2~3倍もの量を製造するとのこと。 購入されるお客様は一般の方はもちろん、企業も多く、イベントや地鎮祭のような行事、取引先への手土産に多くご利用されているそうです。そのため、掛け紙にも季節によって柄をかえたり、文字を入れたりと工夫をされています。

堺名産けし餅 小島屋

 

美味しいけし餅の秘密

お餅の表面にびっしりと並んでいるのが、けしの実。小島屋では、質の良いトルコ産のけしの実のみを使用しています。『南蛮貿易の盛んだったころは、堺近辺でもけしが栽培されていました。けれどけしの実は、その特性から現在日本では栽培されていないんです。』とおっしゃるのは主任の林さん。アヘンの原料にもなるけしの実は、「あへん法」により栽培が禁止されている植物です。輸入の際も、麻薬取締機関などで検査を受けて、火を通して発芽しない事を証明されたものだけが食用として使用できます。小さなけしの実はこのような厳重な検査を経て、私たちの口に届いているんですね。

けし餅の消費期限は作ってから常温で5日間。『作りたてももちろんおいしいのですが、3日たったころがお勧め』と林さん。『味がギュッと詰まり、あんこ、お餅、皮のそれぞれがしっかりと独立して、けし餅の美味しさを味わっていただけると思います』毎日できあがったけし餅を味見し、チェックしてけし餅を知りつくしている林さんならではですね。日がたって少し皮が固くなっても、トースターなどの遠火で焼くとけしの実が香ばしくなって、また違う風味が楽しめるそうです。 撮影の終わったけし餅を、私もいただきました。一口食べて、300年以上続いている理由が分かった気がしました。私の中にあったけし餅の地味なイメージを、いい意味で裏切る美味しさは「また食べたい」と思わせる味わいでした。けしの実のプチプチ感はすごく楽しく、餡と餅皮のバランスが良く、しつこくない甘さがいくらでも食べてしまえそうでした。

堺名産けし餅 小島屋

 

新しい挑戦

けし餅一筋の小島屋さんですが、最近新しいメニューができました。その名も『けし餅ロール』。ロールケーキ用に作られた皮とあんこが生クリームに包まれています。甘すぎない生クリームと餡が口の中でとろけて、珈琲にもあう程よい甘さでした。 このけし餅ロールケーキは、店頭では1ロール単位での販売になります。
堺名産けし餅 小島屋

2階にある茶房ではけし餅ロールをカットで注文できます。こちらの茶房は12時から夕方17時までの営業で、珈琲やジュースと甘味、抹茶セットなどのメニューもいただけます。阪堺電車の新型車両「茶ちゃ」「紫おん」と堺の街並みを眺めながらのんびりと過ごしてみたいなぁと思いました。
堺名産けし餅 小島屋

 堺名産 けし餅本舗 小島屋  詳細情報

取材協力:堺名産けし餅 小島屋
取材日:2014年2月5日
取材・撮影:いしかわいづみ

堺名産 けし餅本舗 小島屋

噛むとプチプチはじける食感、細かい舌触りが癖になる。
堺を代表する和菓子。

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