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戦後間もなく京都で創業した珈琲会社が堺に拠点を移し、珈琲で堺を盛り上げたいと地元企業などと協力して活動をしています。京都と堺の共通点「千利休」をキーワードに和菓子に合う珈琲を販売している三喜屋珈琲さんにお話をお聞きしてきました。
京都から千利休ゆかりの地・堺へ
現社長・園田高久さんの祖父様がリアカーを引いて珈琲を売り始めたのが戦後間もない昭和22年。京都に住んでいた多くの文学者の中には珈琲好きの人が多かったそうです。
昭和49年堺市に大阪支店を設立し、10年前に工場も堺に移転してからは、拠点はほぼ堺になっています。三国ヶ丘駅より徒歩約8分で310号線沿いに位置する会社は、仁徳天皇陵に近く「堺をアピールするには絶好の地」だそうです。2階が事務所で1階には喫茶・珈琲豆などを販売する珈夢亭、珈夢亭の隣には焙煎工房があります。
コンセプトは和菓子に合う珈琲
もともと京都で創業した三喜屋珈琲、現在の拠点となる堺との共通点と言えば茶道で有名な『千利休』。焙煎方法にもこだわり、数多くの珈琲を販売している三喜屋珈琲。堺で珈琲をということで、千利休をパッケージにデザインした珈琲を販売しています。コンセプトは和菓子に合う珈琲です。昔の茶の湯を今の時代に置き換えれば珈琲ではないかという発想からです。
千利休シリーズは洋菓子の濃い生クリームに合う珈琲とはまた違う、餡(小豆)に合う味にしています。和菓子を食べる時に飲む抹茶のように、砂糖やミルクをいれないでブラックで飲める珈琲にしています。熱風焙煎で深入りではなく柔らかい味わいです。
和菓子に合う珈琲とのコンセプトで作られた千利休シリーズは3種類
珈琲とともに堺の新しい文化を発信していきたい
和菓子に合う珈琲をコンセプトとしてブレンドされた千利休シリーズ。これをもとに珈夢亭では和菓子と珈琲のセットという飲み方を提案しています。「名古屋のモーニングが有名なように、堺では珈琲と和菓子がセット、という新しい文化として浸透させたいんです」と代表取締役社長の園田高久さん。
1階で営業しているコーヒーショップの珈夢亭では和菓子セットとして提供されています。和菓子セットの珈琲はカップに注がれたものではなく、急須に入った珈琲と湯飲みのように取っ手のない陶器のカップ、小さな重箱のような器に入った和菓子が和風のお盆にのって運ばれてきます。和風の雰囲気が凄く素敵で、珈琲セットの新しいスタイルですね。
珈琲を通して堺を盛り上げたい
堺を盛り上げるために、地元のホテルなどにも千利休シリーズにこだわらない「珈琲と和菓子」というスタイルを提案しています。また、堺市内の和菓子店とも協力して、堺の和菓子ツアーを行いました。堺市内の和菓子店をバスで巡り、最後に珈夢亭で珈琲を飲んでもらうというツアーを自ら企画し実行しました。
園田さんの堺を盛り上げたいという気持ちは強く、堺を拠点に活動するバレーボールチーム「堺ブレイザーズ」を応援しようと、独自でシールを作成し千利休シリーズのパッケージに貼っています。このシールの貼っている珈琲が一つ売れるごとに5円の寄付をするという活動も行っています。
珈琲とともに堺を盛り上げたいと、気持ちだけでなく実際に活動されている姿にすごく感動しました。