世界が認めた瀧芳の高級シルク毛布

 繊維業界、とりわけ国内産毛布と言えば全盛期を過ぎた印象があります。しかし、その中で売り上げを伸ばし海外でも高い評価を受け、脚光を浴びている企業が泉大津市にあります。業界の常識を破り、独自の技術で高い信頼を得ている瀧芳株式会社さんのこだわりを探ります。
 

国内産毛布のシェア90%の泉大津

 明治の初め、日本初の毛布が、泉大津で誕生しました。以降、国内産毛布の生産量90%以上のシェアを誇る泉大津市ですが、近年、売上高は海外の輸入物に押され減少しています。海外から大量生産のマイヤー毛布が入ってくると、競争が激しくなり、地元企業も切磋琢磨し技術的には大変進歩しました。しかし、価格競争が進むと、次々と関連企業が毛布の生産から手を引いていきました。

瀧芳株式会社
 

綿毛布からシルク毛布へ

 十数年前に業界の流れとして、日本から中国の工場へ技術指導に行っていた時期がありました。結果、売り上げを伸ばしていた綿毛布の製造技術は、中国に模倣され、安い人件費と円高の影響もあり国内での生産量は激減しました。しかし品質の面では、やはり日本産に勝てるものではありませんでした。

 社長の瀧谷一夫さんは売り上げが伸び悩み苦しい現実に直面した時の心境を「それなら本当にいいものだけを作ろうと思った、それがシルク毛布なんです。良い原料だけ集めて、本当にいいものだけを作ろうと思った」と語ってくれました。高価な絹糸を使って製造時間のかかるシルク毛布を作ることは、「安く早くたくさん作る」という業界の常識を覆した考えでした。

瀧芳株式会社

 原料となる絹糸は、中国から高級品質のものだけを仕入れています。「織物」であるシルク毛布は、大きく分けて「織り」「染め」「起毛」「シャーリング(起毛後の散髪のような作業)」「ポリシャー(アイロン)」「縫製」と、実に多くの工程を経て出来上がります。
 
瀧芳株式会社

特にシルク毛布は肌触りが重要なのですが、瀧芳株式会社ではこれまで研究により、シルク生地をタンブラー乾燥機にかけ、繊維に膨らみを持たせるという独自の技術を開発しました。
 
瀧芳株式会社

創業当時より培ってきた他社にはまねのできない起毛加工技術で、シルク毛布をこれまでなかった最高の風合いに仕上げていきます。
 
瀧芳株式会社

これにより軽くて柔らかで暖かく、素晴らしく肌触りの良いシルク毛布の製造に成功しました。今では世界的に有名な高級ブランドのシャネルにも認められ、コートの生地に採用されています。
 

瀧芳株式会社

シルクは肌にもいいということで、皇太子妃雅子さまにも献上されたそうです。
 

将来の成長のために

 『これから先は問屋や商社を通すのではなく、工場直販が増えてくるでしょうね。弊社でもネット販売などに対応しています。シルク毛布は最高の品質なのでヨーロッパの展示会に持って行っても、高い評価をいただいています。最高品質を保つことはもちろん、売る自分たちが、さらにお客様に対する対応をきちんとできるように社員一人一人の意識を高めることが必要になってくると思います』と会社の将来の展望について語る瀧谷芳則専務。

瀧芳株式会社

 最高の物を作り、自分たち自身の意識もより高めて成長していきたいと言う思いが、最高級のシルク毛布を生んでいるのですね。
 

 瀧芳株式会社  詳細情報

取材協力:瀧芳株式会社
取材日:2014年3月5日
取材・撮影:いしかわいづみ

瀧芳株式会社

「高級シルク毛布」の製造販売。「シルク」は魅力あふれる天然繊維です。健康食品ともいえる程「豊富なアミノ酸」を含有する蛋白質繊維!天然繊維の中で最も細く「独特の光沢」「しなやかさ」「肌ざわり」など優れた特徴を持った素材です。

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